絶景しかないが地獄。マナリからレーへ18時間の大移動

マナリからレーへの道。この旅一番の過酷さであった。

移動に18時間かかるし、山道なのでガタガタで半端なく揺れる。

 

だが車内からの景色はこれまで見たことがない絶景であふれていた。絶景しかないと言っても嘘ではない。

 

天国と地獄を同時に味わった移動だった。

 

出発時間は午前1時半。

眠い目をこすって宿を後にする。

 

「寒い・・・」

 

北海道生まれの北海道育ちだけど、寒いの苦手だし嫌い。

暑いのもだめだけど。

 

インドに来てからTシャツに短パンというファッションが当たり前だったけど、ここでそんな恰好をしたら死んでしまう。

パーカーの上にユニクロのウルトラライドダウン、ジーンズという格好だ。

 

5分前にピックアップ場所に着いた。

辺りは人気もなくて真っ暗。

野良犬は昼間はぐでーっと昼寝をしているけど、夜になると活発に吠えている。

正直怖いぞ。

 

1時半になり車が迎えに来た。

マナリからレーへの移動は12人乗りのミニバスでの移動となる。

 

「一番後ろの席か」

 

定員いっぱいに人が乗り込み、席はぎゅうぎゅう詰め。

欧米人や現地のインド人など乗客は様々。

その中にインド人のおじいちゃんがいた。

「おいおじいちゃん。18時間移動だぞ?耐えられるのか?」そんなことを思っていたらバスが出発する。

時間は深夜2時だったので眠い。

 

「寝よう」

 

 

・・・

 

ガターン!

 

ゴトーン!

 

ズドン!

 

めっちゃ揺れる。

インドの道路は基本デコボコ。バスが揺れる揺れる。

眠れない。

しかもだんだん寒くなってきた。

 

・・・

 

「寒すぎる!」

 

だんだん高所に向かっているためか半端なく寒い。0℃いってないんじゃないか?

他の乗客も寒さに打ち震えている。

エアコンなんてもちろんついてない。耐えるしかない。

アホか。無理だ!耐えきれない!

 

このとき一番後ろの席でよかったと思う出来事が起こる。

大きいバッグは一番後ろのシートのさらに後ろに積んである。

後ろを振り向くと僕のバッグがあった。

自分のバッグから取り出しやすい位置に入れておいた、コクーンのトラベルシーツを取り出す。

それに脚を突っ込む。気休め程度だけど、ないよりましだ。

 

出発してから2、3時間ほどたって1回目の休憩のため停車。

尿意を感じたので放尿する。

何気なく上を見上げると、満天の星空。

今まで見たことのない数の星が頭上に輝いていた。

 

再出発後、外がだんだん明るくなってきた。

 

「太陽さん。早く現れて暖めておくれ」

 

祈りながら眠りについた。

 

次に目覚めたとき、周りには絶景しかなかった。

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「すげぇ!」

写真では伝わりきらない。

とにかく山。そして谷。たまに川。それが壮大すぎるスケールで眼前に広がる。

 

休憩に入るたびに写真を撮りまくった。

 

これは乗ったミニバス。

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とある休憩ポイントのトイレ。もう2つ並んでます。

なかには普通のインド式便器がありました。大地に感謝しながらの脱糞。

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休憩が2,3時間おきにあって本当に助かった。

休憩ポイントにはちょっとしたお店があり、食べ物や飲み物を買うことができます。

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途中までは僕の体調は良かった。

だが、昼の12時くらいからだんだんと調子を崩していく。

 

休憩をはさむとはいえ、狭い座席に基本ずっと座りっぱなしとなる。

どうあがいても、脚がだるくなってきます。

膝を曲げた体制をとったり工夫するけど疲労がたまっていく。

現実逃避のためひたすら眠ることにした。

 

・・・

 

再び休憩ポイントに停まり僕も目覚める。

トイレに行こうとバスの外に出ました。

 

「なんか怠い。力が入らない」

 

寝起きだからかなとか思ったが、次の休憩ポイントでも同じ症状が出る。少し頭も痛い。

 

「もしかして、これが高山病か」

 

これまで感じたことのない怠さ。しかも視界の外側がぼやけている気がする。

 

 

予防のためにダイアモックスを飲んではいた。

 

このマナリからレーへの道。5000メートル級の山を2つ越える。

日本一の富士山を超える山を2回も越えなければならないと考えたらその過酷さがわかるだろうか。

 

 

さらに症状として寒気が出てきた。太陽に照らされて暑いはずなのに寒気。

発熱してしまった。

早く着いてと祈るばかりだがあと8時間もある。

 

「もう帰りたい・・・。ベッドで寝たい・・・」

 

ひたすら無になろうとする。無の境地に達しよう。そうすれば楽になる。

 

無になること8時間。やっとレーの町についた。到着時間は20時。

 

「は・・・はやく・・・宿に・・行き・・たい・・」

 

白タクが客引きをしていたので速攻つかまえる

 

「・・・このゲストハウスまで・・・行ってくれ」

もはや疲労で声が出ない。

 

無事に宿に到着。

ご飯もシャワーも何もする気力と体力がなかったので、すぐにベッドに転がった。